私は、4年前に愛犬を亡くしました。私といえば犬好き、犬好きと言えば私というくらい周りでは犬好きで通っていて、本当に心の一部のような存在でした。私と彼女が出会ったのは、私が中学生の頃でした。初めて参加した、犬猫の譲渡会。その中でもとりわけ元気な子犬でした。譲渡会なので、くじ引きで譲渡していただけるかどうかが決まるのですが、決まった瞬間は今でも鮮明に覚えています。「膝の上に、まだ三ヶ月しか生きたことのない命が乗っている!」愛犬は本当に元気いっぱいに我が家にやってきました。愛犬はどちらかというとトボけた性格で温厚な犬でした。私達はどちらも子供でしたから、本当に姉妹のように育ちました。犬に泣かされたこともありますし、おそらく犬も私に泣かされたことも多いでしょう。それでも、一日の終りには、あたたかい愛犬のキスで仲直りしたものです。いまでも、あの頬にあたる舌のやわらかさ、あたたかさ、そして犬臭さを覚えています。ずっと一緒にいると思っていたのに…人生とは難しいもので、私のほうが実家を離れることになりました。理由は進学。それでもちょくちょく実家に帰っていたので、寂しさはありませんでした。しかし、その後結婚が決まり、実家から遠く離れたところに引っ越さなければいけなくなりました。私がどんなに家から長く離れていても、彼女は私のことを忘れることはありませんでした。いつも近づけば耳を伏せてしっぽはちぎれんばかりに振り、そして「早く犬小屋から出してよ!」と催促するのです。彼女はとっても素敵な犬でしたから、私の伴侶は犬嫌いが直り、今では犬が好きというところにまでなりました。彼女は本当に最後まで素敵な犬でした。健康で、病気一つせず、自慢の犬です。後悔があるとすれば、近くにいれてやれなかったことでしょう。それでも、16歳。天寿を全うしたと言えます。我が家に来て、彼女は幸せであったかなぁ。幸せであってほしいなぁと、心から思います。四年たった今、以前は犬を見るだけで大号泣していましたが彼女はもうすでに心の一部になりました。今ペットロスで苦しんでいる人がいたら、時間が癒やしてくれると伝えたいです。彼女がくれた愛情の分だけ、私の心は強くあります。愛犬は消えたわけではなく、心に空いた穴はすべて彼女の思い出と愛情で埋まりました。時間はかかりましたが、もう大丈夫です。ああ、でもそうだなぁ。やっぱりまだ、彼女には会いたいと強く思ってしまいます。
34歳 女 時間ぐすり
