7年前の春、13年一緒に過ごしてきたマルチーズのゴンが天国に旅立ちました。ゴンとの出会いは学生の頃、下宿先の近くのペットショップ。いつかは犬を飼いたいな、でもアパートだし無理だよな、と思いながら見ていたところ、店員さんの「抱っこしてみますか」の声で抱っこさせてもらったのがゴンでした。初めて触る子犬の感触。小さな命のはかなさ、温かさに触れて、もう離れることができなくなっていました。貧乏学生には思い切った値段でしたが、夏休みの旅行に行こうと貯めていたお金でゴンをアパートに迎え入れました。大家さんには内緒だったのですが、今思えばきっとばれていたんでしょうね。ゴンが来てから生活は一変しました。大学に行っている間も留守番をしているゴンのことが頭から離れず、講義と講義のちょっとした間にも様子を見に帰る毎日。友人から付き合いが悪くなったと苦笑混じりに言われても、初めての子犬のお世話に必死でした。大学を卒業し上京。東京の外れでペット可のアパートを借りました。休日には公園やドッグランで思い切り走らせたり、長期休暇の際はゴンと一緒に実家の新潟までドライブ。車に乗ることが好きなゴンは、助手席のドアを開けると自分から飛び乗り、目的地までいつもおとなしくしてくれていました。10歳の頃、すっかりおじいちゃん犬になり動きも少なくなったゴンに異変が見られました。食事をあまりとらなくなり、食べても吐いてしまうことが続きました。呼吸も苦しそうにゼイゼイとすることがあったのでかかりつけの獣医さんに見てもらったところ、心臓に異常が見つかりました。先生曰く、今すぐ危険というわけではないものの激しい運動は禁止。ゴンの好きなドッグランやドライブもだめとのことでした。それからはほぼ家の中だけで過ごす穏やかな毎日でしたが、それもゆったりとした心地いい時間でした。その日は突然やってきました。診断から3年後の朝、私が起きたらゴンは冷たくなっていました。目の前が真っ暗になり気を失ってしまうのではないかと思いました。そこからの記憶はあまりありません。病院に連絡し死亡の診断を受け、犬のお寺の連絡先を教えてもらい、火葬して頂いたことも全て夢の中の出来事のようでした。ただどうしようもない現実、ゴンがいないという現実だけがはっきり突きつけられました。ゴンが亡くなって以降、他の犬を一切見ることができなくなりました。テレビのペット番組はすぐチャンネルを変え、散歩している犬からはできるだけ離れるようにしました。しかし、ゴンの死から3年経ったある日。突然何の前触れもなく、ゴンの死を受け入れることができました。あまりに突然のことで自分がびっくりしました。時間が解決してくれる、とはよく言われることですが、私にとってゴンの死を受け止めるには3年という時間が必要だったのでしょう。ゴンの命日には毎年お墓参りに行っています。お墓に一緒に収めたお気にいりのクッションで、ゴンは今日も楽しくどこかをドライブしていることでしょう。
ドライブが好きだったゴン
