高校生のころ、母親が外で空き地から子犬を拾ってきた。空き地で段ボールから出たり入ってりしていたようです。可哀そうで連れてきたとのことでした。うっしーと名前をつけ、家で飼うことになりました。うっしーは目がクリっとして、可愛い雌の犬でした。何となく、日々の生活がつまらなく、イライラすることが多かった僕は、うっしーに癒されるようになっていきました。姉が二人いましたが、何となく妹ができたみたいで、可愛がりました。 5人家族でしたが、うっしーは愛嬌があり、皆に可愛がられ、家族の一員となっていきました。うっしーは朝方3時や5時に僕を起こし、散歩に連れていけとよくせがみました。僕は眠いながらもうっしーに頼まれては、連れて行かないわけにいかず、ぼんやりと朝方の散歩をしていました。手はかかりましたが、それがまた愛おしく思いました。 僕は、大学進学の関係で、地元を離れ、別の地で生活していました。実家に帰るときはいつもうっしーに会えるのを楽しみにしていました。 離れていて暫くぶりに会ううっしーは、次第に年をとったと思わせるようになっていきました。 大学が忙しく、しばらくうっしーに合わない日が続きました。 国家試験の勉強のため、実家に戻ったとき、うっしーは尻尾を振って近づいてきました。僕は何となく、違和感を覚えました。生気がなく、よろよろしている感じがして心配になりました。呼吸も荒い感じがしていました。帰省して直ぐに散歩に連れて行きましたが、呼吸が荒く、直ぐに家に戻らせようとしました。家に戻ろうとしたとき、なんとなく寂しい表情を浮かべていました。 その日の夕方から更に呼吸状態が悪くなり、横たわっているうっしーを見て、母親と二人で動物病院に連れて行きました。うっしーはそのまま他界しました。 自分も悲しみでいっぱいでしたが、家族を失った母親の狼狽ぶりが凄く、自分はしっかりしなければと思いました。 あと一日自分の帰省が遅ければ、うっしーの最後にも立ち会えなかったと思うと、うっしーは僕を待っていたんだなと思いました。 あれから12年くらい経ちますが、未だにうっしーのことを思い出し、涙ぐむことがあります。 自分の心を成長させてくれ、家族を繋げてくれたうっしーに感謝しています。
帰省を待っていたかのような愛犬の死 12年経っても涙ぐむ
