現在40代主婦です。死後10年が経ち、今、心から思えること、それは私達家族が、サム(犬の名前)という雑種犬に出会えたこと。親戚の叔母から「1匹、可愛いオス犬を飼ってくれないかしら?」私達は、生後3ヶ月の子犬を我が家で飼うことにしました。サムはこの家族を楽しませてくれる存在でした。そんな家族の一員のサムが、16年で人生の幕を閉じたのです。早朝、穏やかな顔つきで亡くなってしまい、悲しみに暮れながら、なくなく葬儀屋へ連絡をしました。サムの遺体を焼く前に、葬儀屋の方が動物用のお経でしょうか?般若心経のようなものを唱え、私達は泣きながら手を合わせ、サムに本当のサヨナラを告げました。遺体を焼いた後、家族で一つずつお骨を拾い、1人ずつ感謝の言葉を述べました。一番悲しんでいたのは母でした。ご飯や散歩の世話、病気の介護まで、ほとんど母に任せっきりになっていたことは後悔しています。サムは、私のことを兄弟と思ってくれていて、いつも学校から帰るとしっぽを振りながら近寄ってきてくれました。いつもいつも励ましてくれる存在でした。ある日、学校で嫌なことがあり、泣きながら家路に着くと、サムが近づいてきてクンクンと一緒に泣きます。私の心の異変に気付いてくれて、泣き止むまでそっと寄り添ってくれたことは、今でも忘れません。本当に感謝の思いでいっぱいです。夏に大きな台風が来た時、サムはブルブル震えていました。家の中で一緒に過ごし、私や姉にピタっとくっついて離れませんでした。台風の中心に入ったことに気づかず、もう通過したのだろうと思い、サムを散歩に連れて行きました。ですが、サムがソワソワして変です。「どうしたの?」とサムに話しかけた瞬間、サムは一目散に走り出し、私は綱に引っ張られながら家路に着きました。その瞬間、家の瓦がバーンっと目の前に落ちて来て、強い風が吹き出したのです。サムは耳が良く、吹き返しの風が聞こえたのでしょう。焦った表情で私の顔を見て危険なことを知らせてくれました。本当に賢い犬でした。死んでまもない頃は、ペットロスで何もする気が起きませんでした。「サム、サム、もう会うないんだよね。まだここにいるような気がする」と毎日のように母と話しながら、心を癒していました。49日の夜中、サムは母の枕元に現れたそうです。元気な姿でお座りをしていて、母が「サム?サムだね。」と言葉をかけるとスッと消えたらしいです。父は、信じませんでしたが、私は確信しました。サムが、私達にちゃんとお礼を言って天国に行ったことを。私達が家族のように可愛がったことが、動物にもちゃんと伝わるのだと言うことがわかり、一緒に過ごせて良かったと心から思っています。
一粒の涙が、愛犬サムの遺骨に落ちる、感謝の葬儀
