悲しそうなハムスターの顔。ゲージもみるのがつらく家事も手がつかなかった。

5年ほど前、娘が高校生のころ、季節は冬の終わり、ペットショップをのぞいていたら、コーヒー色の体をした、目のとても大きいオスのハムスターがいたので、強く印象に残り、飼うことにしました。ケージや、回転車や、かじり棒、藁、えさ、全てを揃えて、自宅に大切に連れて帰りました。毎日、毎日、えさやり、水の取り換え、外に出して一緒に遊びました。しばらくしたころでしょうか。少し、変だなと感じるようになりました。餌をあげる時に、そばには来るのですが、微妙にずれたところに座っているのです。声をかけると、そちらのほうに移動してきます。どうやら、目が見えなかったのです。しかし、耳は相当良いようで、遠くからでも、足音を聞き分けます。夫が近づいたときは知らぬ顔ですが、娘や私が近づいたときは飛んできます。ハムスターの健康状態は耳を見ると良いとネットからの情報を得て、我が家のハムスターを見てみると、レタスのような形態でした。何らかの障害があったのでしょう。一生懸命、聞こえる音だけを頼りに生きていたのです。私や、娘が来ると嬉しそうに走って近づいてくる黒く大きなあの目がいじらしくてなりません。あまり、長い命ではないのだろうということが、想像できました。この子が生きている間は少しでも遊んであげようと暇を見つけては室内ですが、外に出してあげました。ハムスターはなつかないと聞いていましたが、私たちの声によく反応し、側で、毎日毎日、くるくる走り回り遊んでいました。じゃれてくるようなそぶりもありました。その年の冬、毛布やパネルヒーターも設置していましたが、やはり、寒かったのか、亡くなりました。学校にいる娘に連絡をしたら、泣きながら早退してきました。亡くなる少し前、急に水の吸い口に長い時間口を付け、しばらくすると、悲しそうな眼をして、じっとしていた姿がいまでも忘れられません。使っていたケージや、回転車、かじり棒、見たくないです。あの子の亡骸は我が家の庭の片隅にガーゼで寒くないように包みそっと埋めてあげました。娘はしばらく学校に行けず、私は家事も手につきませんでした。でも、あの子は、私たちと出会えて少しでも幸せだったかなあと折にふれて考えることで気持ちを癒すことにしています。