15年も一緒にいた子を亡くしました。私が小学校の低学年の頃から一緒に過ごしてきた家族でしたが、私が社会人になって二年目に旅立ってしまいました。彼女は老犬ながらとても元気で食欲も旺盛な様子でもっと長生きしてくれるものだと安心していたのですが、亡くなる少し前に急にご飯を食べることも散歩をすることもできなくなってしまいました。その後どんどん衰弱していき、あっという間に逝ってしまったのです。最期を看取ることができたのですが、とても苦しそうだったのが本当に辛くてなかなか現実を受け入れることができませんでした。出来ることなら眠るように、苦しまずに逝って欲しかったのです。でもそうはならなかった。そうさせてあげられなかったことがとても悔しかったのを覚えています。亡くなってしばらくは、いつもの場所に気配を感じたり、実は透明になって見えないだけで近くに居るんじゃないか、皆に認識してもらえず寂しい思いをしているんじゃないかとずっと思っていました。彼女の死が受け入れられなかったのです。どうしても彼女が恋しかった私はせめて似た見た目のヌイグルミを側に置きたいと、ネットや店舗で探し始めました。しかし同じ犬種のヌイグルミやグッズはあっても全く似ていないのです。どれだけ探しても似た面影のものが見つからず、どうしようかと途方に暮れていました。そのときにフェルトアートに出逢いました。羊毛フェルトで自分のペットの人形を作っている方たちがいたのです。さっそく手芸屋さんに行ってフェルトの材料を購入し、何度か試作した後に彼女そっくりのフェルト人形を作り上げることができました。その時に私は不意に受け入れることができたのです。彼女がもう逝ってしまったということを。実は彼女の人形を作るために、家中の写真をかき集めたのですが、その過程で折角だからとアルバムも作ったのです。そしてそのアルバムを見ながら人形をつくっていました。家に来たばかりのころんころんの犬がおおきくなってイタズラや遊びを満喫している姿、年老いてゆっくりと寛いでいる姿に何度も目を通し、彼女の人生を噛み締めたのです。辛いことや、悲しいこともあったけれど、彼女は確かに遊んで、食べて、のんびりして過ごしていたのだということを、アルバムや人形製作を通して飲み込めていけたのだと思います。もし今大切な家族を亡くされて行き場のない後悔や悲しみを抱えておられるなら、その子の写真をぜーんぶ集めてアルバムにされてはどうでしょうか。そして何か形に残るものをつくって側に置くのもいいと思います。その子の死に向き合うのではなく、死も含めたその子の人生を受け入れる事ができるようになっているかもしれません。
28歳女 フェルト人形とアルバム作りで受け入れた家族の旅立ち
