それまで12年も一緒に暮らしていた愛犬(コーギー)のナナがガンで亡くなりました。ナナは私達夫婦の間に生まれた息子よりも先に我が家にやって来てくれた愛犬です。今にして思えばナナは我が家の家族同然の存在でした。でも、その事に気付いたのは最近の事なんです。ナナは本当に我が家にやって来て、幸せだったのでしょうか。私達夫婦の間にはしばらく子どもが産まれませんでした。どんなに不妊治療に頑張っても子どもを授かる事は出来なかったのです。もう、子どもを授かるのは無理。私達夫婦はそう結論を出しました。でも、二人だけの生活はどこか寂しいもの。そんな寂しさを紛らわす為に私達夫婦はコーギーの仔犬を家族に迎える事にしたのです。我が家にやって来てくれたコーギーにはナナと名付けました。それこそナナは本当の私達夫婦の子どものよう。私達夫婦は本当にナナを自分の子どものように可愛がり、そして育てて行きました。ナナが我が家に来て3年経ちました。その時、私達夫婦には思いもよらない事が起こったのです。何と、諦めていた子どもが私達夫婦の間に出来ました。それは本当に夢のような出来事だったのです。無事、生まれてきた長男は私にも家内にもまさに天使のように思えたものです。初めて授かった子どもです。とにかくかわいのです。私と家内は育児の大変さに追われながらも、子どもが授かった喜びを噛み締めていました。もちろん、ナナの事も忘れてはいません。ナナは長男にとって兄弟のような存在だと思っていましたから。けれども、私達夫婦は長男相手にする時間に追われて、ナナの世話は疎かになってしまっていたのです。そんな生活がしばらく続きました。気がつくとナナはとても病気がちになってしまっていたのです。病院に連れて行くとナナはガンにかかっている事がわかりました。私達夫婦は本当に驚きました。獣医さんの話によると、運動不足なども原因のひとつと言われたのです。確かに長男が生まれてからは忙しさのあまり、恒常的にナナを散歩に連れて行かなくなってしまっていました。ガンと診断されてナナはあっという間に私達の元を旅立って行きました。本当にあっという間だったのです。その時、改めて私と家内はナナは間違いなく私達家族の一員だったと思い知ったのです。ナナがいなくなって、この上なく心にぽっかりと穴が開いてしまいました。何か、私達夫婦には子どもは生まれないんだと諦めた時の感覚と同じ気持ちです。ナナが私達家族の元を旅立ってもう3年になります。今でもナナがいない生活に私も家内も慣れる事はありません。ナナは私達夫婦の元に来て幸せだったのでしょうか?その答えは到底、私も家内も自分では見つける事は出来ません。ですから、ナナの代わりに新しい犬を我が家に迎え入れる気持ちにもなれないのです。多分、ナナの代わりの新しい家族を迎え入れるにはもう少し時間がかかるのでしょう。その為には私と家内がきちんと新しいペットを飼う事が出来る人間に生まれ変わらなければなりません。この苦しみってなかなか、人には理解して貰えない事も事実です。その事も私が苦しい思いをする理由の一つになってます。ペットでしょ?気にする事ないんじゃない?こう言われるたびに私は心の中でペットは家族なんだよと叫んでいるのです。
愛犬ナナが亡くなってわかりました ナナも私達の家族だったんです
