愛嬌のあるインコの死に家族が意気消沈。新しいインコがきても代わりにはならなかった。

それは高校を卒業して、グラフィックの専門学校に通いおこずかいを稼ぐ為に近所のフルーツパーラー店でバイトしてた時の事だった、滅多な事ではバイト先に電話などしてこない母からの電話、出ると、いきなり「ピーちゃんが!」と悲痛な悲しみの声で母が泣いている、この所、可愛がっていたピーちゃんが調子が悪かった、棒に立っていられなくなっていた、餌も食べなくなって、鳥かごの床にへばりついて、弱っていく姿が痛々しく見てられなかった、ピーちゃんは、インコなんです、とっても愛嬌があって、おしゃべりが上手でした、父はビールが好きだった、会社から買えると母はいつも「お父さんビール!」というのを覚えて、お父さんビール!お父さんビール!と言い、家族みんなを笑わせてくれたピーちゃん、母はピーちゃんによく話しかけ、ピーちゃんいい子ね!○○ちゃん駄目よ~!(○○ちゃんは私の事)それを覚えて、「ピーちゃん!いい子よ!○○ちゃんだ~め~ねぇ!」と、連呼して言っては、皆を笑わせてくれた、あのピーちゃんが、亡くなってしまった、こんなに小さな鳥だというのに、ピーちゃんの存在は大きかった、ピーちゃんがいない部屋の中は静まり返り、寂しさしかなかった、母は苦労人でどんな事があっても、オタオタしない人だった、母のあんな姿は後にも先にも見た事がなかった、父も姉も私も、沈んでしまった、家族の一員だった、もう家に帰っても、「お父さんビール!」と言ってくれない、私の事を○○ちゃんだ~めぇ~ネェ!」と言う声も聞けなくなった、淋しくてたまらなかった、家族全員が、たった小さなインコの存在に口数も少なくなってしまったのだ、あまりに悲しいのでまたインコを買おう!という事になった、でも何も語らないインコだった、新しいインコが訪れたので、少しは悲しみが薄れたけれど、あのピーちゃんの変わりにはならなかった、あのピーちゃんは家族の忘れられないピーちゃんとなった、それは面白い私達家族にピッタリのインコだったのだから。