出会いがあれば別れはつきもの‥そんなことわかってはいたけど、その別れの日が突然訪れると受け入れ難いものとして心がなかなか現実を受け入れてはくれない。我が家の2代目としてやってきた柴犬のサクラは東京生まれ。自宅から2時間かけて迎えに行き、今まで一緒に暮らしてきた兄弟たちと別れることがわかってか、小刻みに震えていたのを今でも思い出します。ようやく我が家にも慣れ、じゃれあって遊ぶ姿に愛おしさを感じていた頃。甘噛みではなく明らかに手をガブっと本噛みしたのです。瞬時に叱ったものの私のしつけ方が間違っていたのか以来、手を近づけると噛む癖がついてしまいました。さすがに“これはマズイな”と思い、ネットで調べ出張トレーニングしてくれる人を探しました。警戒心と恐怖心の強い柴犬でしたので、月1~月2回ペースの訓練も1年以上続きました。その甲斐もあり噛み癖は改善し、ようやく穏やかなペットライフが始まりました。しかし、その数か月後…原因不明の嘔吐が始まったのです。動物病院へ何度も通院し服薬したけれど治る気配すらなく、ごはんも進まなくなりました。「どうしたの?」と尋ねたところで苦しそうな表情を見せるだけ。「ペットが話せれば、その苦痛を取り除いてあげられるのに‥」何度もそう思いました。日に日に痩せていき元気がなくなっていく姿をみるのが辛くて、でもどうすることもできない無力さに、ただただ見守ることしかできませんでした。そして別れは突然にやってきました。朝ごはんも食べず、水も飲まず横たわるサクラ。私が近寄ると立ち上がろうと力を振り絞り「キュ―――ン」と今まで聞いた事のない悲しげな声を挙げ、息を引き取りました。「サクラ!!」何度呼び掛けても反応はありませんでした。その日からというもの私は悲しみと後悔でいっぱいでした。“あの時、他の病院を受診させればよかった”“もっと散歩してあげればよかった”出先で黒柴を見かける度にサクラを思い出し涙したものです。居なくなってしまった喪失感を埋めることができずにいた頃、近くのブリーダーで黒柴が生まれたことを知り、我が家の3代目として迎えることになりました。これもきっとサクラが導いてくれた運命だと思っています。
原因不明の病気で亡くなった愛犬 しゃべることができれば、病院を代えておけばと後悔の日々
