越冬できたアカアシクワガタ。メスをみつけてパートナーにするも別種族でNG。申し訳なさで後悔。

2年前、北国の厳しい冬を1つ越えたオスのアカアシクワガタ「工場長」が亡くなりました。

工場長という名前は、僕の友人に工場勤務でどこへでも自転車で行くタフガイがおり、彼のように強く生きてほしいと願い、そこから取りました。

工場長は短い夏が終わりかけていた8月下旬、夜にアパートの階段にぽつんとたたずんでいました。

アカアシクワガタは一般的に越冬せず、成虫になったその年限りで生涯を終えると言われています。

僕が工場長と生活するようになった時点でそれは覚悟していたつもりでした。

工場長のお気に入りはオレンジとリンゴ味の昆虫ゼリーで、一晩中食べ続けてゼリーのカップにすっぽり入ってしまっている様子がとても可愛く思いました。

もし工場長が越冬できたら、来年は彼のパートナーを見つけようと企んでおり、名前の通り越冬してくれた時の嬉しさは忘れません。

翌年夏、メスのクワガタを見つけ、彼と引き合わせたところ喧嘩してしまい、パートナーになれませんでした。

この時は工場長をコクワガタと勘違いしていて、コクワガタのメスとは種類が違うことを後から知り、今でも申し訳ない気持ちでいっぱいです。

結局アカアシクワガタのメスを見つけられないまま9月も中旬となり、変わらず元気な工場長に来年こそはと期待してしまっていました。

しかし10月に入り急激に衰弱し、11月までは少しゼリーを食べていたものの、最後は大好きなリンゴ味のゼリーを食べながらお迎えが来てしまいました。

その日、僕は職場におり、同居していたパートナーからメールが来てそのことを知りました。

決して泣かない、笑顔でさよならする、そう決めて帰路についたはずが、アパート近くの公園に差し掛かると涙が溢れ、そのままベンチで号泣しました・・

昆虫を捕まえて虫カゴで飼うなんて人間のエゴだよね、種類の違うメスと合わせてしまって本当にゴメンと、お詫びの言葉が止まりませんでした。

工場長が亡くなった日、仕事が休みだったパートナーもその場で泣いたかも知れません。

でも、仕事終わりに電話した際の声はどこかすっきりしていて、僕も負けていられないなと、決して泣かないはずだった、のに。

どれくらい泣いたかわかりませんが、やけに遅くなった帰宅時のすっきり演技はきっとバレていたと思います。

誰にも見せることのなかった涙で工場長が許してくれるとは思いません。

でも、最後に食べていたゼリーが美味しかったらいいな、何か1つでも彼が幸せだと思っていてくれればいいなと、勝手ながら想像してしまいます。

工場長は祖父母が暮らす田舎に埋葬し、帰省するたびにお墓の前で手を合わせ、ゼリー食べてるか、楽しくやってるかと、声をかけています。

ありがとう、工場長。僕は幸せでした。