母の死でひきこもりになった私を救ってくれた愛犬。残してくれたのはがんばる心。

私がマルちゃんと出会ったのは、高校1年の秋頃でした。
その年の夏に母親が病気で他界してしまいました。

朝まで元気だった母が、仕事中に倒れそのまま帰ってくる事はありませんでした。

私は母を亡くしたショックで、食事も喉を通らず、学校もずっと休んで部屋に引きこもる日々を送っていました。

結局、私は高校を中退して、親戚の叔母さんに紹介された会社で就職をする事になったのですが、家から出るのも躊躇っていました。

そんな私を心配した父が、ある日、小さい子犬のマルチーズと一緒に家に帰って来ました。

知り合いから、可愛がって欲しいと言われ貰ってきたのでした。

私は、マルチーズのマルちゃんと一緒に時を過ごす事になりました。

マルちゃんは、とてもお利口な子犬でした。
私が寂しい顔をしていると、すぐに膝の上に乗り、ペロペロと舐め始め、くすぐったい私は、笑ってしまうんです。

私が笑うと膝から降りて、私の前でクルクルと回って喜ぶんです。
私は、母を亡くした傷がどんどん和らいでいきました。

マルちゃんに癒されていたお陰で、仕事にもきちんと行くようになり、毎日のマルちゃんの散歩も楽しくて仕方ありませんでした。

マルちゃんは、私が朝の出勤する時間になると、玄関でずっと待っていて、私と一緒に近くの線路脇まで付いて来ると、「ワン。」と一声挙げると尻尾を振って、自宅へ帰っていました。

毎朝、毎朝、私を見送ってくれていました。

ある時、私が仕事を終わって帰って来ると、マルちゃんの姿が見えません。
私は父に訪ねると、マルちゃんは私を見送った後、自宅前の道路で車に引かれてしまったのでした。

私には見せたらいけないと思った父がマルちゃんを動物供養して貰える所で火葬して供養して貰ったそうでした。

私は、マルちゃんがいなくなった事で、心の火が消えてしまい、無気力になってしまいました。

私を見送らなければ…。マルちゃんごめんね…。そんな思いと後悔で、泣き続けました。

でも、また私が泣いてしまうと、天国に逝ってしまったマルちゃんが心配するのかな?と思い、私は、立ち直らないといけないと奮起する事にしました。

それからは、「お母さん、マルちゃんを可愛がってね。行って来ます。」と毎日仏壇に手を合わせて、出勤しました。