産後うつで何年もほったらかしにしていた愛犬。死ぬまぎわの2時間だけなぜかひざの上に。悪口でもいいから話を聞きたい。

わたしには溺愛していたポメラニアンがいました。モモと言います。モモと初めて出会った時、「世の中にこんなに可愛い子犬がいるのか」と思った位です。
あまり可愛いので、ドッグショーに出してみたところ、わずか1歳2ヶ月でチャンピオンを完成しました。
散歩で近所を歩く度に、見知らぬ人から「綺麗な犬ですね」と声をかけられ、わたしの自慢の犬でした。
ところが、わたしが結婚し出産した後、産後うつ病に罹ってしまったのです。我が子も可愛いと思えず、体調の悪さから寝てばかりいました。当然、モモの事も放ったらかし。
自分がかばってやらなくてはいけない存在は、子どもだけで手一杯だったのです。そんなわたしを、モモはどう思っていたのか。
そして、出産から3年経った頃、モモは心臓発作を起し倒れてしまいました。余命わずかと獣医師に宣告されましたが、それでもわたしはモモの面倒を見ようとはしませんでした。
2月の寒い日だったと思います。本当に久しぶりにモモを抱っこする気になったのです。自分でも何故だか分かりませんでした。
「モモ、おいで」と声を掛けても、モモは恨みがましそうな目をして、わたしに近寄っては来ませんでした。
わたしは少し強引にモモを引っ張って、自分の膝の上に乗せました。すると、モモは急に大人しくなり、うつらうつらし始めたのです。その時、子どもは幼稚園に行っており、家族も全員出かけていて、家の中はわたしとモモの二人きりでした。
モモは幸せそうな寝顔を見せていました。わたしもつられて、ウトウトしかけた時、突然モモが大きな発作を起したのです。何が起こったのか理解した時には、もうモモは息をしていませんでした。
何年も見離していたモモを、最後の2時間だけ抱っこしていたのです。モモはわたしの事をどう思っていたのか、いつか会えたら聞いてみたいです。悪口でも何でも良いから、聞いてあげたいです。