20数年すごした猫、居なくなって初めて分かった存在感
私が初めてそのペットの猫と出会ったのは、私が十代の頃でした。
まだ子猫の時にうちの家にやってきました。
親戚が自分の家では飼えないからという理由で連れてきたのがきっかけでした。
家にやってきてから数日の間は、近寄っては逃げられるという繰り返しの毎日でした。
近寄らなくても、家の中をあっちこっち逃げ回るという状態でした。
いきなり知らない家に連れてこられたのですから無理もなかったと思います。
このように近寄っていくとすぐに逃げてしまうという状態だったので、食べ物をわかるようにペットの近くに置いて様子を見てみると何とか食事だけは食べてくれました。
その時は、ホッとしたのを憶えています。
その後は、月日が経つごとに徐々に慣れていき、私が家の中を移動するとすぐに後ろから付いてくるまで懐いてくれるようになりました。
この頃からはもう家にペットがいるのが当たり前の状態になり、ペットが家の中で見かけないと気になってしまう、という感じになりました。
ペットは家族と一緒だとよく言います。
確かにその通りだと思いました。
それから二十年近く経って年老いて老猫になってくると動きは鈍くなり、食も細くなっていき、若くて元気な時よりも色々な面で気を遣うようになりました。
飼っている当時にもあったのかもしれませんが、今ではペット関連の書籍や情報が溢れています。
最近、ネット上でペットとの接し方についての記事を偶然見かけました。
その記事を読んで当時のことを思い出し、”あの時は良いと思っていろいろとやっていたけどペットはこう感じていたんだな”と後悔をする時もあります。
ペットがいる時は、居るのが当たり前でしばしば煩わしささえ感じる時もありました。
ある日突然いなくなってそれっきりで、今は写真が残っているだけです。
家に来て二十数年たったある日の事でした。
確かに、居なくなって暫らくは悲しい気持ちで一杯でした。
でも、残った写真を眺めているとそこから楽しい記憶が溢れ出てきます。
居る時は何も感じなかったけれど、居なくなって、単なるペットじゃなくてやっぱり大切な家族の一員だったんだなと、その存在の大きさを改めて感じました。
しかし、一番の想いは『うちの家に来てくれてありがとう』でしょう。