こんにちは。29歳、既婚、事務職の女です。子どもはいませんが主人とふたり、仲良く過ごしています。私たちが初めてお迎えしたペットは、キンクマハムスターの女の子でした。春の季節にお迎えしたから、名前は「はる」ちゃん。家に来たときはとても小さかったはるちゃんはみるみる大きくなって、活発で好奇心旺盛なおてんば娘になりました。その割にビビりなところがあって、とってもかわいい子でした。そして、絶対に人の手を噛むことをしませんでした。当時、私は精神病を患っていました。症状は酷く会社も休職状態、毎週のように通院していました。そんな私を癒してくれて、復職できるまでに回復させてくれたのは紛れもなくはるちゃんでした。はるちゃんは小さいけれど、私の中で何より大きな、大切な存在でした。ある日、はるちゃんの左目の上に傷があることに気づきました。血は止まっているようですが、深い傷のようです。いったいどこで?いつ?狼狽しましたがその日は夜遅く、翌日に動物病院に連れて行くことにしました。病院へ連れて行ってから一週間で、はるちゃんはお空へ昇っていってしまいました。目の傷にバイ菌が入り、化膿して感染症にかかったのかもと先生は仰っていました。一週間、毎日のように通院し、投薬したり傷口に処置をしてもらったり、点滴をしてもらいましたが、助かりませんでした。はるちゃんが息を引き取るまで、私と主人は傍で見守っていました。はるちゃんは息を引き取る間際、手を伸ばしたのです。私ははるちゃんの手をそっと指で触りました。それからすぐ、はるちゃんは息を引き取ってしまいました。悲しくて苦しくて、それでも私は泣き崩れることはしませんでした。すぐにはるちゃんのお葬式の準備にかかったのです。亡くなったのは早朝でしたが、今日中に行わなくてはいけないと思い、悲しみより先に体が動きました。ペットのお葬式は生まれて初めてのことでした。とりあえず、ネットで今日中に葬式を執り行ってくれて、自宅からそんなに離れていない霊園を検索し、連絡を取りました。霊園の方は快く応じて下さいました。ハムスターならばティッシュ箱などを利用して安置する方が多いと教えて頂き、火葬できるものやできないものも教えて頂きました。教わった通り、ティッシュ箱にやわらかいタオルを敷き、はるちゃんを寝かせます。はるちゃんが好きなごはん、おやつ、私たちの写真を一緒に入れました。それから、霊園に行く途中の花屋さんで、はるちゃんに似合いそうなお花を買い、はるちゃんの周りに敷き詰めました。ペット霊園に着くと、スタッフの方から葬儀、火葬、供養の説明がありました。私たちは個別火葬、つまりほかのペットと一緒に火葬することはせず、はるちゃん単体で火葬してもらうことにしました。お骨は後日、自宅へと持ち帰ることにしました。葬式は私と主人二人だけで、お経を読んでもらい、ご焼香をしました。ここでようやく、はるちゃんが死んだことの悲しさが波のように押し寄せてきました。涙が止まりませんでした。火葬の前に、はるちゃんの姿を見せてもらいます。花の中で眠るはるちゃんを見て、嗚咽しました。はるちゃんを焼かないで。いなくならないで。そんな思いでいっぱいでした。はるちゃん、ありがとう、おやすみ。そんな言葉をかけることしかできませんでした。帰りの車の中でも、私は泣いてばかりでした。家に帰ると余計にはるちゃんがいないことの喪失感がすごく、家の中がとてもさびしく感じました。私が、もっと早くケガに気づいてあげられていたら。ケガをしないようにもっと気をつけていたら。もっと治療に専念できたんじゃないか、もっとできることがあったんじゃないか、投薬も処置もはるちゃんにとっては痛くてつらかっただろうから、そんなことしないほうがよかったんじゃないか、私は治療のためにひどいことをしていたんじゃないか……。もっといろんなごはんを食べさせてあげればよかった。もっといっぱい遊ばせたかった。後悔ばかりでした。胸が痛くて苦しくて、涙が止まりません。それからしばらくは、仕事が終わってもすぐに家に帰らない日が続きました。はるちゃんのいない家に、帰りたくなかったからです。お骨を受け取りに行く日、また主人とふたりで霊園を訪れました。白いカバーがかかった小さな骨壺。これがはるちゃん?なんだか信じられませんでした。でも、家の中にはるちゃんが帰ってきてくれたんだと思うと、少しだけ安心したようにも感じます。それから毎日、出勤前にははるちゃんに声をかけています。仕事から帰れば、ただいま、と声をかけます。今でも、はるちゃんは私たちにとってかけがえのない存在です。ハムスターの寿命が短いことはわかっていました。でも、一年にも満たなかったはるちゃんの命は短すぎました。今振り返っても、それは私のせいなのではないかと自責の念に駆られます。きっとずっと、変わらず後悔し続けるんだと思います。でも、後悔とは別で、お葬式自体はやってよかったと思っています。子どもの頃はハムスターが死んだら裏山に埋葬していましたが、今ではそれなりの都会に住んでいるのでそんなわけにはいきません。火葬したことでお骨を持ち帰ることができ、はるちゃんはずっと家の中にいてくれます。葬式は人間の自己満足かもしれません。でも、そうでもしないと気持ちに整理がつきません。区切りもつきません。自己満足でいいと思います。私は自己満足です。大切なはるちゃんを、しっかりした霊園で人間と同じような葬式をしてあげたかったのです。はるちゃんはまるで、私たち夫婦の子供のような存在でしたから。今後、はるちゃんの黒位牌を作成してもらい、仏壇もきちんとしたものを購入する予定です。やるからにはそこまできちんとやりたいのです。骨壺の前にははるちゃんの写真が飾ってあります。写真の中のはるちゃんは、幸せそうに眠っています。同じように今、安らかに眠ってくれていたら。後悔ばかりの私ですが、心のどこかでそんなふうに思っています。はるちゃん、ありがとう。大好きだよ。はるちゃんはずっと、私の大切な子だよ。骨壺が目に入る度、そんな言葉が自然と胸に浮かびます。
29歳女・ハムスターを隣市のペット霊園でお葬式をし、区切りがついた
