私は40歳の会社員です。今から18年前に6年間飼っていた愛犬ロックが亡くなった時のことをお話しします。ロックは私が12歳の頃、我が家に来ました。親戚のうちが飼っていたのですが、転勤で、ロックを飼えなくなり、我が家が引き取ることになりました。私とロックは最初から相性が良く、家族の中で一番私に懐いていました。中学、高校、大学と進学し、部活やアルバイトで忙しくなりましたが、朝の散歩だけは私が必ず連れて行っていました。ロックにとっても楽しい時間だったと思いますし、私も悩みや考え事をロックに話すことで、リフレッシュしたり、考えを整理することができました。しかし、別れは突然訪れました。大学4年生の秋のことでした。講義中に何度も母親から電話があり、何となく嫌な予感がしました。折り返すと母親は泣きながら、ロックが車にはねられて、死んでしまったと言いました。20年近く経った今でも、その時の感覚はハッキリ覚えています。立ち眩みのようにフラリとし、休み時間で、うるさかった周りの音が一切聴こえなくなりました。その後、どのように帰ったか覚えてませんが、いつの間にかウチに戻り、ロックを抱いていました。事故だったのに、ロックはキレイで眠っているようでしたが、冷たくなっていました。その後はただただ悲しく、涙が止まりませんでした。仕事から帰ってきた父親が、庭の隅に、ロックを埋葬してくれましたが、私は立ち会えませんでした。次の日、学校もバイトもあったので、気は進みませんでしたが、いつものように行動しました。しかし、身体も心も重く、全くやる気が起きませんでした。時々、ロックのことを考えてしまい、涙が出ることもありました。友だちに相談しようにも、20歳を越えた男がペットとの死別でクヨクヨしているとなると、情けないとか、小学生みたいとか、別のペットを飼えばとしか言われません。しかし、その時、気付いたのは、泣くと少しスッキリするということです。ですから、泣ける時は泣いて、気持ちを落ち着けました。また、毎日日記を付けるようにしました。思ったことは何でも、ロックのことやそれ以外のことを好きなだけ書くようにしました。書くことで気持ちを客観的に見ることができるせいか、書いた後は、不思議と気持ちが落ち着くことが分かりました。2週間程すると、泣くことはなくなりましたが、日記は続けました。1ヶ月程すると、ロックの記述はどんどん少なくなり、悲しみよりは楽しかった思い出を書けるようになっていました。そうして私はロックとの死別を克服していきました。今、思えば、気持ちを溜め込まず、身体の外に出したことが良かったのかもしれません。ただ、この死別があまりにもショックが大きかったので、それ以降、我が家はペットを飼っていません。
22歳大学生 気持ちを外に発散してペットロスを克服
