31歳女 新たな生命が私を癒してくれます
私は小学校二年の時に引っ越しました。
隣の家には雑種の少し大きな犬がいました。
動物好きの私はすぐにお隣さんと仲良くなり、その犬ともよく遊んでいました。
ある日、その犬が妊娠していたということで八匹の子犬を産みました。
私と兄は父に頼み、子犬を一匹引き取ることになりました。
体は黒で足は靴下を履いたように白い子犬でした。
動物を初めて飼ったので少しだけ不安はありましたが、それでもその子犬が可愛くて仕方がありませんでした。
車に乗るのを嫌がる子だったので、遠出はしませんでしたが毎日近所を散歩していました。
父は番犬のつもりだったので家の中で飼うことはしませんでしたが、それでも何か嫌なこととかがあると外に出てその子に話を聞いてもらっていました。
走るのが好きで、でもその頃はまだドッグランがあまり無い頃だったので散歩中に一緒に走っていました。
でもやっぱり犬の方が足が速いのでいつも引きずられてばかりでした。
中学校、高校に上がると部活が忙しくなり、あまり散歩に行けなくなったのは心残りです。
もう少し一緒にいたいと思っていたのですが、私は大学生になり、県内ではありましたが、少し離れた大学に通うことになりました。
住む場所も寮だったので会う機会が減ってしまいました。
それでもひと月に一度は帰れるようにして犬と会うようにしていました。
そして大学三年の冬、私が実家に帰り、いつものように犬と遊び、その日は何故かいつも以上に携帯で写真を撮りまくっていました。
そして大学の寮に戻り明日からまた授業だなと思って寝た次の日、朝早くに父から電話がありました。
あまりにも珍しいことだったので驚いて電話に出ると、父が涙声で犬が死んだと話しました。
私は何を言われたのか一瞬わからなくて思わず聞き返しました。
だって昨日はあんなに元気だったし、またすぐ帰るねって言ったのに……。
父の話では夜中に窓をガシャガシャと爪で叩く音がしたそうです。
それでもよく一人で暴れて遊んでいる子だったのでその時は気にしなかったそうです。
でも朝、ご飯をあげようと外に出るとすでに息をしていなかったということでした。
夜中に騒いだ時に見に行っていればよかったと父は後悔していました。
私も最後を見届けることができず後悔しました。
まさかあの日に撮った写真が最後の写真になるとは思ってもいませんでした。
それから少しして男子にいじめられている黒い子猫を助けました。
その子は母猫から無理やり引きはがされた子だと聞きました。
それが可哀想だと感じてしまい私はその子を飼うことにしました。
犬と猫なので見た目は全然違うはずなのに、顔立ちが少しだけ飼っていた犬に似ている気がしました。
特に鼻がスッとしているあたりが似てて、少しやんちゃな性格もあの子のことを思い出します。
でもやっぱり生き物を飼っていると目の前の子のことで手一杯になり、あの子のことは忘れませんが、それでも今飼っている猫に癒されてるなと思いました。