ペットロスを克服した151人の体験談

37歳男性 においの染みついたタオルでペットロス克服

現在37歳の男性です。

高校1年から大学4年まで飼っていたプレリードッグが虹の橋を渡った時の体験です。

高校生になるまでは金魚やカエルといった水槽で飼育できる生き物を飼っていました。

母はインコを飼っており、休みの日になると近所のデパートまで餌などを買いに行っていました。

デパート内に魚や犬猫、ハムスターなどを扱っているペットショップがあり、動物を見るのも好きだったので、よくついていきました。

すると今まで見たことのない「プレリードッグ」というげっ歯類の赤ちゃんが売られていました。

犬猫のように大きくなく、手のひらで可愛がれるくらいの赤ちゃんプレリーに一目ぼれし、母におこずかい交渉を行いその日のうちに家族になりました。

プレリードッグは小型犬のように「キャン」と鳴くのが特徴で非常に活発で、大人になりきるまでは発情期の攻撃性があったりと大変苦労しました。

しかし大人になって落ち着いてくると、母の飼っていたインコを背中に乗せたまま室内を散策したり、リードをつけて近所を散歩したりと、多くの思い出を一緒に作ることができました。

特に思い出深いのは、私が夜寝る時に部屋の電気を消すと騒ぎだすようになったことです。

暗いことが怖いわけでもなさそうなのに何で騒ぐのかとある日ケージの扉を開けたところ、ケージから私のベッドまで真っすぐと向かってきて、私の枕もとで寝始めたのです。

最初はそのまま寝て、つぶしてしまったりどこかへ逃げてしまうかと不安でしたが、朝になっても枕もとや枕の下敷きになっても伸びて寝ていたり、私の脇に潜り込んで肩枕で寝てたりすることが増え、次第に一緒になるのが当たり前になりました。

そんな日々を送りながら大学に入学し就職活動をし始めたくらいの時、だんだんと元気がなくなってきているように感じ、近所の動物病院へ行きましたが、当時はプレリードッグを診察してくれる病院がなく、リスだったらわかるけど、こんなに大きなプレリードッグは責任が持てないと診察を受けることもできませんでした。

今ならネットでいろいろ検索できるのに、当時は家庭にパソコンが普及し始めた矢先、裕福でもなく興味もなくパソコンを買っていない家庭では、どうすることもできませんでした。

餌をふやかしてあげたり、鼻が詰まって息苦しそうなときは吸って取ってあげたりとすることしかできず、家族で弱っていくのを見守り、手が空けば撫でてあげることしかできませんでした。

そしてある日家から電話があり、もうそろそろと言われ、慌てて帰りましたが間に合わず、虹の橋を渡ったばかりでまだ温かい体を一晩中抱きしめて一緒に寝たのを鮮明に覚えています。

悲しくて泣いたりするというよりは、喪失感から心にぽっかりと穴が開き、その穴が大きな存在感を発しているような感じでした。

翌日家族で冥福を祈り、これまで魚やインコがなくなった時に埋葬していた庭の一角にプレリードックも土葬しました。

ケージなどはその日のうちに処分をしました。

大きな悲しみが迫ってくるような恐怖感があったからです。

でも一緒に毎日のように寝ているときにかけてあげていたバスタオルだけは洗濯や処分をする気になれず、いつも寝る時は枕もとにおいて匂いを嗅ぐように寝ていました。

心とは裏腹にいろいろなものを早く処分したのに、いなくなった喪失感を埋めるために匂いだけは失いたくなかったのです。

土葬した庭に行くのも当時は不安や恐怖から避けていたのを思い出しますが、それでもバスタオルの匂いだけは離せませんでした。

当時私はなぜかバスタオルを何枚もベッドに持ち込む癖があり、枕もとには枕と同じ大きさくらいのまるまったバスタオルが積んでありました。

母が勝手に持っていき洗濯をするのですが、匂いが染みついた一緒に寝ていたバスタオルだけは何も言わずとも洗わずにいてくれました。

そんな日々が続き半年もすると、母が「もう大丈夫ね」と私に話し始めたので不思議に思っていると、匂いのついたタオルもこっそりと洗濯をし始めていることを話し始めました。

洗濯されたタオルと混ざり匂いがなくなっていくのに気が付かず、徐々に洗濯された匂いをプレリードックの残り香と勘違いしているようでした。

そんな特に何をしたわけでもない、自分の認識が変わっていくことに気が付き、ふと寂しさと悲しさが押し寄せてきてしっかりとした喪失感を味わったのを覚えています。

そして泣き止んだ時には、なぜか前向きに、自分を自分で励ませるようになっていました。

そして一枚だけ残していた写真を額に入れて部屋に飾り、心で語りかけられるようになりました。

動物の話になると泣いてしまうよくあるペットロスというよりは、死に直面して受け入れることができず見ないふりをし続けていたペットロスだったのだと思います。

時間の解決とも言えますが、その間常にに残り香と共に生活し心が壊れるのを救ってくれていたのだと思います。

逆に匂いが残るほうが長引きそうなイメージもありますが、心で亡くなったペットにすがるより、物に感情を移したほうがもしかしたら何かのきっかけで回復することがあるのかもしれません。

あれから15年、今は4年前からフェレットを飼っています。

やっとまた動物を飼う心が整ったのだと思います。

そして今回はしっかりと世話をして調べて何かあったら治療し、笑顔でお別れができるよう頑張っています。

そしていつもテレビの隣に置いてあるプレリードックの写真を見ては、当時一緒に寝てくれた姿を思い出し、フェレットと一緒に寝るために奮闘しています。