54歳女性 とことん泣いて後悔したのちに愛犬の笑顔が見えました
共働きでただ流されるだけの毎日だった私達夫婦のもとにやってきてくれた一匹の雑種の老犬。
保護施設で出会ったその犬は悲壮感のかけらもないくらい穏やかで優しい目をしていました。
しつけをする時間がないので成犬を望んではいましたが7歳ともなるとどれだけ一緒にいられのか、ということがネックでしたが、ご縁を感じ家族になってもらいました。
すぐに我が家に慣れ、やはり出会った時と同じ穏やかに優しく私達に寄り添ってくれました。
シニアといえどもまだまだ元気だったので、平日はずっと留守番させていたこともあり、休日には車で遠出したり、宿泊旅行したり。
この子がいるだけでこうも生活がキラキラするんだね。
そんなことを夫婦で話しては本犬が鬱陶しいと思うほどいっぱいの愛情を注いできました。
今まで悲しく辛いことを経験してきたはずですから。
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多少のアレルギーなどで病院にかかったことはあれど、大きな病気もせず暮らしてきましたが、15歳くらいから徐々に衰えが顕著になってきました。
白内障、痙攣発作、腎臓病。
絶対この子を守る!という意思だけはぶれず、食事やケアについて勉強し実践してきました。
が、とうとうその日はやってきます。
享年17歳。
本当によく頑張って長生きしてくれました。
寝たきりになって1年。
昼夜逆転になり、仕事との両立はかなり困難でした。
でも介護の日々は愛犬が残してくれた最後の蜜月の時間でした。
旅立つには不足のない年齢でした。
病気で辛かっただろうし、自分なりに覚悟は出来ていたはずです。
なのにやはり心にあいた穴は想像以上に大きかったのです。
日常生活は、表面上普通に過ごせていました。
仕事も、家のことも。
でもちょっとしたすき間すき間に襲ってくる寂しさはどうしようもありませんでした。
友人達は共に泣いてくれ、優しい言葉もいっぱいいただいたというのに、やれるだけのことはやったというのに、自然と後悔すべき部分を探している自分がいました。
病院に連れていったタイミングが悪かったのではないだろうか、あの時あの子は辛かったのではないだろうか、私はやり過ぎたのだろうか。
小説が書けるくらい後悔ネタがあふれ出てきました。
人であれペットであれ、大事な存在を失い、その事実を消化するには相当の時間がかかります。
見送ってから1年くらいは寝たきりのまま私を見上げる少し悲しげな愛犬ばかり思い出していました。
一周忌を過ぎ、ふと気づくと、一緒に行った旅行やゴハンを前に嬉しそうな笑顔を見せる愛犬が脳裏に登場していました。
これが愛犬ロスから脱出できたと思えた瞬間でした。
その後は三寒四温のように、後悔が襲ったりしつつ、笑顔の愛犬の割合が増えていきました。
そしてもうすぐ2年。
今まで辛くて見返せなかった愛犬の写真を眺めては感謝の気持ちを伝えられるようになりました。
ロスからの回復は本当に人それぞれだと思いますが、どんなに辛くても悲しくても寂しくても、必ず最後には感謝だけが残ると思っています。
日にち薬とは良く言ったものですね。
きっと天国の愛犬は情けない飼い主の私をハラハラしながら見守っていてくれたのだと思います。