30歳女 一緒に育った愛犬を近所のペット霊園で火葬 心が救われた
私が住んでいたところは農家が多い田舎で大きな家が多いところでしたので、犬や猫、馬や牛など飼っている方もいたほどでした。
兄弟たちにひっついて近所を練り歩き、そういった動物を触らせてもらうのがとても好きでした。
「犬が飼いたい」と思い始めたのは幼稚園だとか、本当に小さい時からだったと思います。
かなり駄々をこねていた私に対し、両親は責任が取りきれないだろうといろんな手をつかい、私に犬をあきらめさせようとしましたが、もちろん諦めることはありませんでした。
そして、10歳の時、いきなり私のミントはやってきました。
知り合いのおじさんがバイクの荷台に捨てられていた子犬を乗せて、うちに連れてきたのです。
いきなりの訪問に父は相当参ったことでしょうが、なんとか、説得をし、中型の雑種のメス、ミントは私たちの妹になりました。
室内犬にすることは叶いませんでしたが、番犬として、しっかり家を守り、私たちの良き、理解者となり、一緒に成長をしたミント。
よその人が来ると、吠える癖にその人が近づくと、必死で物陰に隠れる臆病な犬でした。
毎日散歩は1時間、最終的には私が一番犬を欲した、ということで私の担当になりましたが、運動好きな犬でしたので、雨の日もしっかり1時間散歩に行きました。
また近所にほぼ放し飼いになっている大きな雑種の犬がよく訪ねに来るようになりました。
気がついたら、なんと、妊娠していました。
父はとても怒り、その家に怒鳴り込みに行きましたが、私はまだ14歳ほどでしたので、かわいい子犬が増える、どこにもやるものか、と本当に嬉しかったものです。
結局生まれた4匹はもらわれていきましたが、どこかにミントの子供、子孫がいる、と考えるだけで救われるような思いがします。
私もいつのまにか社会人となり、ミントも15歳と犬の寿命と言われている歳になっていました。
ある日に姉が、「ミントの歩き方がおかしい」と言いました。
確かに尻尾はたて、ひょこひょこと足をひきづるような歩き方になっていました。
すぐに動物病院に連れて行くと、膣に膿がたまる病気だと言われました。
「若い犬だったら手術で膣を取り出せば治りますが、高齢犬では手術はできません。
治ることもないでしょう」と言われました。
いつのまに、こんなに歳を取っていたのでしょう、少し前までは散歩でも縄をひっぱって、鳥を見れば、追いかけようとして、ボールを追いかけていたあの元気なミントがいつの間にかこんなにおばあちゃん犬になっていたのだと感じました。
それから毎日獣医さんに通い、食塩水を注射し、膿を排出するような処置をしてもらい、3ヶ月たったあと、一度回復したと思われたミントは、私たちが眠っている間に発作に襲われ、朝無くなっていました。
その日は家族みんなたくさん泣きました。
夕方になり、やっと気持ちが落ち着いた時に姉が「お葬式をしよう」とネットで近所のペット葬儀のサイトを見せてくれました。
すぐに連絡をし、翌日に予約をいれ、段ボールに好きだったおもちゃなどを入れて、連れて行きました。
会場は本当に小さな教会のようなところで祭壇にミントを寝かせ、施設の方が今までの思い出など、とても心温まるセレモニーをしてくださいました。
その時に「最後まで諦めずに少しでも長く生きるチャンスをくれてありがとう」と施設の方に言われ、号泣しました。
そしてとても心が救われました。
辛い思いをさせながら、延命をするのが良いことなのかわからなかったからです。
セレモニーの後、火葬をしてもらい、骨の入った壺を受け取り、自宅に一緒に帰りました。
今ではいつもミントが昼寝をしていた木陰で今も私たち家族を守ってくれています。