私は、夫婦二人ぐらしをしている還暦を迎えたおっさんです。これから書く事は私が小学生の頃の話です。その頃のことを思い出しながら、子供の気持ちで書きます。 ある日学校から帰り、近所の空き地で友達と遊び、薄暗くなってきたので家に帰ろうと歩いていると小さな猫が私についてきました。走って逃げようとしましたが、それでも必死についてきます。かわいそうになり、抱き上げて家に連れて帰りました。お母さんに飼いたいとお願いしました。お父さんに聞いてからと言われました。ほどなくお父さんが仕事から帰ってきて、今まで何も飼ったことがなかったので、良いと言ってくれました。 私は、タマと名前を付けて可愛がりました。タマは頭の良い猫で毎朝私の耳をあまがみして起こしてくれました。私が学校に行くとき途中まで必ずついてきました、送ってくれていたのでしょう。でも閉口することもありました。蛇やネズミや虫などを捕まえては、家にもって帰って来るのです。タマにとっては大威張りで自慢だってのでしょう。そのうち、タマはお腹に子供を宿し3匹、子猫を生みました。そうタマは雌猫だったのです。その後、3回2~3匹づつ子猫を生みました。普通猫はお産を人に見せないものだそうですが、タマはお産のたびにお母さんが手伝っていました。生まれた子猫は、近所の人にもらわれていきましたが、残った子猫はすべて家で飼っていました。いつの間にか家は猫屋敷になっていました。 何年かたったある日、タマは体調を悪くしてあっけなく死んでしまいました。猫は死ぬときも人眼につかないところに行くそうですが、タマは私たち家族の目に届くところで死にました。私は大泣きしました。お母さんが、猫は死ぬと猫の島に行って幸せに暮らすのだと、話してくれました。タマの亡骸を段ボールに入れ、線香の束に火をつけて入れて近所の海に行き流してあげました。お母さんと二人で、猫の島でしあわせに暮らせよと祈りながらいつまでも見送りました。
当時10歳 男 大泣きして癒した
