ペットロスで“何も感じない”日があるのは回復の一部？

1. 導入：悲しくもない、楽しくもないという違和感

ペットを失った後、激しく泣く日や胸が締めつけられる日が続いたかと思うと、ある日突然「何も感じない」状態になることがあります。悲しみも出てこない代わりに、喜びや興味も湧かず、心が空白になったように感じられることもあります。

この変化に対して、「立ち直ったのだろうか」「逆におかしくなってしまったのでは」と不安を覚える人は少なくありません。しかし多くの場合、この感覚は回復の途中で起こる自然な段階として理解することができます。

2. 「何も感じない」状態とはどういうものか

この状態は、感情が完全に消えたわけではありません。心理的には、強い感情の揺れが一時的に落ち着き、心が刺激を抑えている状態と考えられます。

• 涙が出ない
• 考えようとしても感情が動かない
• 良いことがあっても反応が薄い

これは冷たさや無関心ではなく、心がエネルギーを節約している状態でもあります。

3. なぜペットロスで感情が止まるのか

ペットロスでは、短期間に非常に大きな感情の波を経験します。悲しみ、後悔、寂しさ、愛情などが一気に押し寄せると、心は疲弊します。

その結果、心は次の段階として一度感情をフラットにすることで、これ以上の消耗を防ごうとします。「何も感じない」は、心が壊れたサインではなく、回復力が働いている証でもあります。

4. 感情がない＝回復ではない

注意したいのは、「何も感じない＝もう大丈夫」という単純な回復のサインではないという点です。この時期は、悲しみが終わったわけでも、完全に受け入れたわけでもありません。

感情が一時停止しているだけで、後にまた悲しみや寂しさが戻ってくることもあります。これは後退ではなく、回復が段階的に進んでいる証拠です。

5. 「感じない自分」を責めてしまう理由

何も感じない日が続くと、「あれほど大切だったのに」「こんなに早く平気になるなんて」と、自分を責めてしまうことがあります。

しかし、愛情の深さと感情の出方は一致しません。感じない日は、愛情が薄れたのではなく、感じすぎた反動としての休止と捉える方が現実に近いのです。

6. この時期に無理に感情を呼び起こさない

「ちゃんと悲しまなければ」「思い出して泣かなければ」と無理に感情を引き出そうとすると、かえって心に負担をかけることがあります。

• 写真を見て無理に泣こうとしない
• 感情が出ないことを問題視しない
• 評価せず、その状態を認める

感情は、準備が整えば自然に戻ってきます。

7. 「何も感じない日」の過ごし方

この状態の日は、大きな意味を求めず、淡々と過ごすことが心を守ります。

• 体調を整えることを優先する
• 簡単な日常作業に集中する
• 感じない自分を観察するだけにする

特別なことをしなくても、「今日を過ごした」という事実そのものが回復の一部です。

8. 感情が戻るときに起こりやすいこと

何も感じない時期のあと、突然また悲しみが強く出ることがあります。これは抑えられていた感情が、安全だと感じられるタイミングで戻ってくるためです。

この変化を「ぶり返し」と捉える必要はありません。心が次の段階へ進んだサインとして理解することができます。

9. まとめ：「何も感じない」は回復の途中経過

ペットロスで“何も感じない”日があるのは、回復の過程で多くの人が経験する自然な反応です。それは愛情の欠如でも、心の異常でもありません。

感じない日、感じる日、そのどちらもが回復の一部です。自分の心の動きを急がせず、その都度の状態をそのまま認めることが、長い目で見た回復につながっていきます。