ペットロスで持病が悪化しそうなときの主治医への伝え方

1. ペットロスは持病に影響しても不思議ではない

ペットを失ったあと、「症状がぶり返しそう」「数値が悪くなっている気がする」「体調の波が大きい」と感じる人は少なくありません。これは偶然ではなく、強い喪失体験が心身の恒常性を崩すことで、持病に影響が出やすくなるためです。

しかし実際には、「ペットの話をしていいのか」「気のせいだと思われないか」と不安になり、主治医に十分伝えられないまま診察を終えてしまうケースも多く見られます。

2. 主治医に伝えるべき理由を整理する

ペットロスの話は、感情的な雑談ではありません。診療の質を上げるための重要な生活背景情報です。

睡眠不足、食欲低下、服薬リズムの乱れ、ストレス負荷の増大は、持病の悪化要因として医学的にも無視できません。これらの背景にペットロスがあることを伝えることで、医師はより現実的な判断がしやすくなります。

3. 伝える前に整理しておきたいポイント

3-1. 症状の変化を事実ベースでまとめる

「つらい」「不安」といった感情だけでなく、具体的な変化を整理しておくと伝わりやすくなります。

  • いつ頃から症状が変わったか
  • 悪化していると感じる具体的な点
  • 日内変動や波の有無

3-2. 生活リズムの変化を把握する

睡眠時間、食事量、運動量、服薬状況など、「以前と比べて変わった点」を簡単にメモしておくと、診察がスムーズになります。

4. 診察時の伝え方のコツ

4-1. 最初に結論を伝える

限られた診察時間では、冒頭で要点を伝えることが重要です。

「最近ペットを亡くしてから、持病の症状が不安定になっています」と最初に伝えるだけで、医師の視点が整理されます。

4-2. ペットロスを「背景」として説明する

感情を詳しく語る必要はありません。

「その影響で眠れていない」「食事量が落ちている」「動悸や不安感が増えている」など、体調に影響している要素として説明すると、医療的な文脈で受け取ってもらいやすくなります。

4-3. 不安もそのまま言葉にする

「このまま悪化しないか不安」「今の対応で大丈夫か知りたい」といった不安は、遠慮せずに伝えて問題ありません。これは診断や治療方針を決めるための重要な情報です。

5. 伝えにくい場合の代替手段

5-1. メモを見せる

口頭でうまく説明できない場合は、簡単なメモを見せるだけでも十分です。箇条書きで構いません。

5-2. 「生活の変化」として話す

ペットロスという言葉を使いにくい場合は、「最近身近な存在を失って生活が乱れている」と表現しても問題ありません。

6. 主治医に相談することで期待できること

状況を正しく共有できると、以下のような対応につながる可能性があります。

  • 一時的な薬の調整
  • 検査時期の前倒し
  • 生活面への具体的な助言
  • 必要に応じた他科や専門家の紹介

我慢して悪化してから受診するよりも、早めに共有するほうが負担は小さく済むことが多いです。

7. まとめ:ペットロスは医療情報として伝えてよい

ペットロスは「気持ちの問題」だけではなく、体調や持病に影響を及ぼす重要な出来事です。

主治医に伝えることは、弱音でも甘えでもありません。安全に体を守るための、適切な情報提供です。

完璧に説明しようとしなくても構いません。「最近ペットを亡くしてから調子が崩れている」という一言が、診療の質を大きく変えることもあります。

不安を抱え込まず、医療の力を借りながら、今の時期を安全に乗り切る選択をしていきましょう。

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