ペットロス後の里親・保護犬猫を考える人の心の準備

1. はじめに:保護犬猫を考える気持ちは自然な流れ

ペットロスのあと、「また命と暮らしたい」「この子がくれた愛情を、別の命につなげたい」と感じ、里親や保護犬猫を迎えることを考え始める人は少なくありません。

一方で、「それは逃げではないか」「前の子を忘れてしまうのでは」と自分を責めてしまうこともあります。まず知っておいてほしいのは、保護犬猫を考える気持ちは愛情の延長線上にある自然な反応だということです。問題になるのは、その動機や準備が自分の心を置き去りにしていないか、という点です。

2. 心の準備①:罪悪感が原動力になっていないか

「助けなければ」「迎えないと意味がない」という思いが強い場合、その背景に罪悪感が隠れていることがあります。

保護犬猫を迎えることは善行ですが、償いの手段ではありません。罪悪感を軽くするためだけに迎えると、後から心が追いつかなくなることがあります。迎えたい理由が「与えること」だけになっていないか、一度立ち止まって確認してみてください。

3. 心の準備②:前の子と比べてしまう可能性を認める

「比べてはいけない」と思えば思うほど、比較は起こりやすくなります。大切なのは、比べてしまう自分を否定しないことです。

比べること自体が失敗ではありません。ただし、新しい子に「同じ反応」「同じ役割」を期待してしまうと、関係が苦しくなります。違いがあって当然だと、あらかじめ理解しておくことが心の準備になります。

4. 心の準備③:「救う側」になりすぎない

保護犬猫を迎える際、「自分が救う」という意識が強くなりすぎることがあります。しかし、実際の暮らしでは、人と動物は対等な関係です。

「感謝されたい」「元気にしてあげなければ」という思いが強すぎると、うまくいかない場面で自分を責めたり、相手に期待しすぎたりしてしまいます。迎える前に、「一緒に暮らし、互いに影響し合う存在」として想像できているかを確認しましょう。

5. 心の準備④:トラウマや課題を抱えている可能性を理解する

保護犬猫は、それぞれに過去の経験を背負っています。人や環境への警戒、医療面の不安、行動上の課題がある場合もあります。

「愛情があれば何とかなる」という考えだけで進むと、現実とのギャップに苦しむことがあります。想定外の出来事が起こり得ることを、心の準備として受け止めておくことが重要です。

6. 心の準備⑤:迎えたあとに悲しみがぶり返すこともある

新しい子を迎えたことで、かえって前の子を強く思い出し、悲しみが再燃するケースもあります。

これは珍しいことではありません。新しい命が、喪失を上書きするわけではないからです。迎えたあとに揺れる感情が出る可能性も、あらかじめ知っておくことで、「失敗したのでは」という自己否定を避けやすくなります。

7. 心の準備⑥:迎えない選択も尊重される

保護犬猫を考えた結果、「今は迎えない」という結論に至ることもあります。それは逃げでも冷たさでもありません。

考えた上で迎えない判断ができたこと自体が、責任ある選択です。支援の形は、寄付や情報拡散、応援など、迎える以外にもあります。

8. 心の準備⑦:決断に期限を設けない

「この気持ちがある今のうちに」「年齢的に最後のチャンスかも」と期限を設けると、判断が急ぎやすくなります。

迎えるタイミングに正解の時期はありません。心と生活の両方が整うまで、考え続けても問題ありません。

9. まとめ:心の準備とは、覚悟ではなく余白を持つこと

ペットロス後に里親や保護犬猫を考える際の心の準備とは、「強くなること」や「迷いを消すこと」ではありません。

揺れる気持ちや不安を抱えたままでも選べる余白を、自分に許すことです。迎えても、迎えなくても、その選択は尊重されるべきものです。

どうか、自分の心が追い込まれないペースで考えてください。その慎重さこそが、新しい命と誠実に向き合おうとしている証です。

著者